こんにちは、植田ニゴモです。
訪問ヘルパーとして
障害者支援9割、高齢者介護1割の会社で働いています。
今日はアルコール依存症のお話。
個人的に、精神障害の中でトップクラスに大変なのはアルコール依存症だと思いますね。
もうとにかくありとあらゆることが大変です。
まず、依存症がどういう病気かというと
東京通信大学教材よりいくつかご紹介↓
①その物質を摂取したいという強い欲望や切迫感
②その物質摂取行動を抑制することが困難
③摂取を中止・減量したときの離脱症状
④使用量を増やさなければならない耐性がある
⑤それにかわる楽しみを次第に無視するようになり、
それを摂取せざるを得ない時間や回復に要する時間が延長する
⑥明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず、依然として物質を摂取する
アルコール依存症は、治りません。
この治らないというのはお酒をほどほどにコントロールして飲めるようには
戻らないという意味です。
どうしてかというと、アルコールに脳の神経が乗っ取られてしまうからなんですね。
自分の意思の問題ではないわけです。
身体的にも、アルコールが身体の中に常にあることが当たり前になって、
アルコールがあること前提で身体が均衡を保つようになります。
パートさんがいないとシフトが回らない状態ですね。
なので身体からアルコールがなくなってしまうと均衡が保てなくなり、
病的な身体症状が出現します。
わたしが訪問したアルコール依存症の利用者さん宅にも、
常に焼酎の紙パックやビールの空き缶が転がっていました。
部屋には捨てられないゴミ袋が大量に放置されており、コバエが飛び回り、
床はホコリと髪の毛と虫の死骸が積もっていました。
ご本人は見た目はとても元気で、支援者にぬりえをプレゼントしたりするのが好きで、
人懐っこく、今度みんなでバーベキューやりましょうと誘ってくれました。
ところが周囲がお酒をやめましょうと言うととたんに激怒されました。
攻撃的になるのもアルコール依存症の特徴の一つですね。
妄想に囚われ、部屋に知らない紙が落ちていた、
誰かが勝手に入ってしまったのかもしれないと怯えていました。
あちこちに電話をかけて、自分は弁護士になるのだと言って回りました。
お子さんがいらっしゃいましたが、その状態で育てられるはずもなく、
親族の家に預けられていました。
支援団体は10を超えていました。
たくさんの人がその方やその方のご家族を支援しようと動いていました。
それでも状況はさほど変わりませんでした。
その方は入退院を繰り返して、何度目かの入院のときにうちの会社は撤退しました。
ご本人やお子さんがその後どうなったか、分かりません。
アルコールは転倒もこわいです。
酔って転倒し頭を強打、そのまま半身不随になられた方の支援にも行きました。
その方はまだ三十代です。
今も在宅でリハビリを続けながら、お水代わりにお酒を飲んでいます。
どうして人はアルコール依存症になるか。
中島らもは
お酒好きな人はアルコール依存症にはならない
何かから逃げるためにお酒を飲む人がアルコール依存症になる
と書いていました。
その通りだと思います。
親子関係だとか、いろいろなつらい現実から逃げるために飲む。
助けてと言えなかった
助けてと言ったのに助けてもらえなかった
負の感情を表に出せない環境だった
自分の居場所がなかった
そういう人なら誰だって依存症になり得ます。
だから、社会がよくなれば依存症はなくなると言われているのです。
もうひとつ、体質もありますね。
お酒を飲んですぐ気持ち悪くなる人はアルコール依存症にはなりません。
不幸にも代謝が良く肝臓が強いばっかりにアルコール依存症になってしまうのですね。
もちろん飲酒を長年続けているうちに肝臓も病気になります。
覚せい剤なんかと違って、お酒はどこにだってあります。
価格も安いです。
いつでもどこでも手に入ってしまいます。
儀礼的にお酒を飲む機会もたくさんあるし、お酒は健康に良いという風潮もあります。
だからお酒をやめるには、
本人が「あぁお酒をやめないとこのままでは本当にまずい」と思う
底つき体験が必要とされています。
逆にいうと行くところまで行かないとやめられないし
何が底と感じるかはその人次第ということになりますね。
お酒をやめるプロセスはざっと、
本人がお酒をやめようと思う
↓
家族が協力する
↓
通院・入院する
↓
抗酒薬を飲む(お酒を飲むと気持ち悪くなる薬)
↓
断酒会に参加する
この断酒会はもっとも重要で、
同じアルコール依存症の仲間が集まって語り合う会です。
発言者はどうして自分がお酒を飲むようになったか、
お酒によってどんな害があったか(家族に迷惑をかけたなど)を話します。
聞く仲間は絶対に発言者をさえぎらず、否定せず、黙って話を聞きます。
ずっとこの繰り返しを続けるのですね。
最初にアルコール依存症は治らない、と書きましたが、回復はします。
お酒をやめ続けることで、社会生活を送ることは可能なんです。
だから毎日毎日、やめ続ける。
しかしこれはとても難しいことです。
家族、医療職、心理職、福祉職、地域などが莫大な労力をかけても
回復までいたらないこともあります。
特に訪問ヘルパーなんて週に数時間の関わりですから、
お部屋を整えたり、着替えやトイレを手伝ったりすることくらいしかできません。
それでも自分に出来ることが何かないかなぁと日々考えています。
最後に全日本断酒連盟・断酒新生指針より
「自分を改革する努力をし、新しい人生を創る」

